ピカソ、ではない

前回、大原美術館に行った時にミュージアムショップにものすごく気に入ったものがあり、「次に行った時には買おう」と心に誓った。そして、会社でも言い続けていた。それは、「ピカソのピンバッジ」だ。ピカソのピンバッジってなんですか?いい質問ですね。ピカソの絵に出てくるモチーフをピンバッジにしたものです。

先日、大原美術館のミュージアムショップに行く機会ができたので、私は大原美術館のオカザキさんに言った。「ピカソのピンバッジ、買うつもりで来ました!」

ほんの一瞬、小さな間があって、オカザキさんは言ったのだ。

「ミロ、ですね」

あ。ミロだったんだ。恥ずかしー。あれはミロだったんだ。ジョアン・ミロ。シュルレアリスムで有名な画家である。

5種類ぐらいあってどれも可愛いのだが、迷いに迷ってこれを買った。

こうやって上着に付けていると、「ゆかりんさんが描いたものですか?」と訊かれるぐらいにはメカ・アンコクくんのお友達感が出ている。しかしなぜ私はこれを見てピカソと思い込んでいたのだろう。どう見てもピカソ、ではない。

その日の夜はさらに楽しみなことがあった。ブランディングや社名ロゴを担当してもらったscaleさんとイラストを描いてくれたnanakoさんと、うちの役員三人とで社名変更大成功の打ち上げをすることになっていた。楽しみ過ぎてしょうがなかった。

そして我々は天満屋倉敷店の中華料理、「又来軒」にて集った。私は店長のオカモトさんに言ってはならない言葉を口にしてしまった。「アレ、あるんですか?」

「ありますよ」。オカモトさんの目の奥がキラリと光ったのを、私は見た。 56度の酒から始まり

96度のスピリッツ。

ウィスキー、日本酒、焼酎。相手に合わせてどんどんとオカモトさんが集めた酒が出てくる。我々はそれを迎え打つのに精いっぱいだった。

中華料理食べに来て、こんなに酒の写真しか撮ってないことってある?

と思いつつ帰宅してスマホのアルバムを見たら一枚だけ食事の写真を撮っていた。

それは私が夫にLINEで送った麻婆豆腐の写真だった。