先の土曜日の話です。
その日は朝から曇り空で雨が降りそうな天気でした。気圧が低いというだけで気分が下がり気味だったのですが、更に、翌日には父の七回忌法要が控えており施主として多忙だったため、かなり気分がダウナーな感じで足取り重くテニススクールのレッスンに向かいました。
ところが、いざレッスンが始まってみると、意外にも調子が良い。後半のゲーム形式の練習でも、自分がポイントを重ねて連勝することができました。レッスン後は、その時の良いプレーを何度も思い返しながら、すごく晴れやかな気持ちで帰宅したのです。
その経験をよくよく分析してみると、これまでの自分のテニス経験でも、「今日はしっかり練習したし調子がいいぞ!」と思った日ほど結果が伴わず、逆に不安や気乗りしない気分で臨んだ日ほど、意外に好調だったということが、何度かあったように思い出されました。
気になって調べてみたところ、これはスポーツ心理学でいう「逆説的効果(パラドキシカル・エフェクト)」と呼ばれる現象のようです。気分が沈んでいると「今日はあまり期待できないな」と思い、余計な力みが抜けて自然体でプレーできる。また、精神的に余裕がないことで、外からの評価や視線を意識せず、純粋に「自分の動き」や「感覚」に集中できる状態が生まれやすい。これが結果として、パフォーマンスの向上につながるのだそうです。
たしかに、自信満々なときほど「今日はやれる!」と張り切りすぎてしまい、かえってプレーが雑になったり、慎重さに欠けてしまったり。私自身、「気分」と「結果」が必ずしも一致しないことを何度も体感しています。
だからこそ、気分が沈んでいること自体は歓迎できるものではないにせよ、「今のこの状態こそが、かえって自分を良い方向に導くのかもしれない」と考えられるようになったことが、今回の一番の収穫だったように思います。
この心理のパラドックスを仕事なんかにも応用できるといいなと思います。