『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』感想

年末年始に『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』という本を読んだ。

前回のエントリにも関連するが、私は昨年、「来年はもう少し技術書を読もう」と思った。この本はエンジニアリングそのものに関する本ではなく、アカデミックな文章についての話である。だが、こうして原点に立ち返り、「そもそも論文を書くとはどういうことか?」を問い直す本はとても良い。

多くの人は、物事をふわっと理解したまま書き始めてしまい、その結果として挫折するのだと思う。

本書は「アカデミック・ライティング」についての本であるが、「アカデミック・リーディング」にもきちんとページが割かれている点がとても良い。そもそも論として、本書では「書けない人は、実はきちんと読めてもいない」ということが指摘されている。

さらに、「よくよく考えると恐ろしいことは、ふだん自分の読解力というものを客観的に測定する機会はほとんどないという事実である」という一文が印象に残った。

これは、人は脳の使い方を正式に学ばずに育ち、だから本当は脳の使い方をよく知らない、という話ととても近い。

そもそも、技術書なりアカデミックな文章なり、皆さんはどうやって読んでいるのだろうか。読書技術系の本を何冊か読んできたが、結局のところ、それらは「その人が自分の脳に合った手法を編み出して披露している」にすぎないように思う。それを他人がそのまま真似しようとしても、うまくいくはずがない。

ちなみに、私はこの本を三段階に分けて読んだ。

① まずは全体をスキャンするイメージで、さらっと読む。 ② 章ごとにA4の紙一枚に概略をまとめる。 ③ あとで急いで読み返せるよう、B6横ノート半頁程度を目安に、さらに章ごとの概略を数行に落とし込む。

あとで②は不要になるので捨ててしまう。必要な箇所を参照したくなったら③を確認し、必要に応じて①に戻る、という読み方だ。

話が少し逸れたが、この本は、人文学者である著者が自身の体験を基に、「正しい論文のフォーマットが分かれば、論文は比較的簡単に書けるようになる」という考えに辿り着き、「では、正しい論文のフォーマットとは何か?」をテーマに、その答えを分かりやすく整理した一冊である。

本書全体が、まるで一本の論文そのものをなぞるかのような構成で書かれている点も非常に示唆的だ。

また、重要なポイントはボールド体で示されており、その要点部分と各章のまとめを拾い読みするだけでも、本書の主張は十分に理解できるようになっている。

この本は、「論文を書かなければならない人」のためだけの本ではないと思う。技術書が読めない、文章が頭に入ってこない、自分は理解力が低いのではないか、そう感じたことがある人にこそ、一度立ち止まって読んでほしい本だ。

「書けないのは能力の問題ではなく、フォーマットを知らないだけかもしれない」、そして、「読めていないのは努力不足ではなく、読み方を学んでこなかっただけかもしれない」。

そう気づかせてくれる点で、本書はとても静かで、しかし強力な一冊だった。