役に立つ記事だった気がして、探した

少し前に新聞のコラムで何か役に立つことが書いてあった気がして、数日分探した。大事だった気がし出したのが4月16日ぐらいだったのだが、さかのぼって4月10日ぐらいまで過去の新聞をめくった。めくったが見つからなかった。しょうがないので、ネットで検索してみたところ4月10日の記事であった。ありゃりゃ。どうして見過ごしたかなと思って4月10日の記事を探したらちゃんと見つかった。

記事の内容は魚の群れについてだった。水産学者のかたが魚の群れを観察して感じたことが書かれている。水産学者は魚の群れを見ていると民主的だなと感じる瞬間があるそうだ。群れの先頭にいる魚が群れの方向を決めるのだが、先頭の魚が方向を変えた時に、群れ全体がその方向に進むかどうかは、みんながついていくかどうか、つまり多数決で決まっているように見えるからだそうだ。先頭の個体が慌てて群れに戻ることもあれば群れが分裂してしまうこともある。

水産学者は面白い現象について書いていた。魚に目隠しをしたりして突拍子もない行動をさせると、それがリーダー役になって群れがついていくそうだ。より強い刺激に反応して動く習性があるためだと考えられている。この現象を、ドイツ国民が集団でヒトラーに追従してしまった史実になぞらえて警鐘を鳴らす議論も、半世紀前にあったそうだ。

というようなコラムを、何かリーダー論として参考にできるだろうかと記事を読んだときの私は咄嗟に思ったのだった。そうして見つけ出して何度か読み返したが、特に参考にできることもないような気がしてきた。この手の教訓めいたエピソードにこじつけてそれらしい人間習性について語るほうが危ないな(でも脳は面白いと感じてしまう)。そんなわけでしばらく考えてから記事を捨てた。

最近こういうことがとても多い。流れてくる情報をいちいち溜め込んだりしなくなった。ま、そんだけの話。