話を膨らませる技術

英会話を習い始めたということもあり、週末は語学学習の本を読んでいた。

読んだのは

  • 『やっぱり英語をやりたい!』著者:鳥飼玖美子
  • 『総理通訳の外国語勉強法』著者:中川浩一

の2冊だ。『総理通訳の外国語勉強法』はアラビア語の通訳をされていたかたの本なので、語学学習といっても英語とは限らないのだが、これらの本を読んで分かるのは語学には「話を膨らませる技術」が必要だということ。いや。これは語学でなくてコミュニケーションの問題なのだ。

例文が一往復の会話で終わっている場合、そこからどう内容を展開させていくか。たとえば、趣味の会話であれば「私は趣味はテニスです」と言った後、テニスはするのが好きなのか観戦が好きなのか、するのはどれくらいの頻度でやっているのか、観戦が好きならどの選手が好きなのか、テニスをするなら試合などは出たことがあるのか、テニスが好きならば他のスポーツはどうなのか、あるいはそれ以外に趣味はあるのか。 みたいなことを英会話のレッスンの前に事前に日本語で準備しておく必要がある。

これはよく言われることだが、英会話が苦手な人はそもそも日本語での会話が苦手な可能性が高いのではないか、というのはこういうことだ。日本人は自分のことを見ず知らずの人に詳細に語るのが苦手なので、準備不足から会話が途切れてしまうことが多そうだ。

ところで私のところには仕事で営業訪問してくる人が多い。いわゆる営業職を専門としている人が来る場合、私もそのトークから営業の極意を知りたいと思ったりもする。ただし、参考にならないことも多い。営業訪問してくる人はまず会社のホームページを見て、それから私のブログを読んでくることが多い。大概は「ブログを拝見させていただきました。社長はテニスが好きなんですね」とか「多趣味ですね」などと言ってくださることが多い。しかし、それはあまり良い営業トークではないなと思う。

「社長のブログを拝見させていただきましたが、社長はテニスが好きなんですね」という会話だけでは凡庸過ぎるのだ。ブログを読んでから営業をかけてくる人の10人に8人は同じ台詞を言うからだ。「どうです?ちゃんとブログを読んで御社の研究をしていますよ」というアピールにすらならない。

最終的には、その人が自分のことを自分の言葉で語る技術を持っていてこそ、私はその営業の人の話を聞こうという気持ちになる。

『総理通訳の外国語勉強法』では、「自己発信ノート」という自分が発信する内容を書き留めたノートを作ることを勧めている。中川氏の学習法はインプットとアウトプットを5割ずつにすることを勧めているのだが、それはインプット一方では会話はうまくならないという自身の経験を踏まえてのことなのだ。

語学学習に限らず、人との関係のフックを作るには会話の準備・ストックは要るよなあ、と改めて英会話の準備をしながら思うのであった。