アイディアがあった方が良い

私はテニスが好きだが、あまり観戦はしてこなかった。だが、最近は少しずつグランドスラムの試合の期間だけWOWOWに加入するなどして観ることがある。

私の好きな選手は20歳のスペインのアルカラスという選手だ。世界ランキングも1~2位につけている。強いサーブとストロークを持っていてそれだけでも充分勝てるのだが、更にドロップショットを随所に混ぜるのが特徴的だ。技と試合の組み立てに変化があるので、観ているものはそのたびに「おお~」と驚かされ興奮する。

変化をつけてくる選手は、単に「強い」というよりは「魅力的」である。

私はつい4年前からテニスを始めたので、一緒にやる若者に比べると体力も乏しいし怪我も二度ほどしている。そんな中で、それでも自分なりの伸びしろを考えた時に、「アイディアが必要だ」という思いに至った。アイディアがあると、敵からしたらアイディアを持っている対戦相手への怖れのようなものが生まれる。

アルカラスはアイディアがあるから魅力的なのだ、と思う。

相撲で例えるなら、宇良(うら)関などがそうだろう。小兵ながら業師として人気を博しており、取組相手も「宇良が何を仕掛けてくるか分からない」という緊張があると思う。さらにインタビューで何か質問されても「ちょっと分からないですね」とわざととぼけてみせて手の内を明かさない。

体力だけでは勝てない、自分より体の大きな人には勝てない、を払拭するのがアイディアなのだ。

私は年齢も若くないし、あとどれくらい自分の力が伸ばせるか分からない。その中で私が見つけ出したのは「スポーツはアイディアだ」という考え方だ。

経営という仕事も、アイディアだと思う。どういう自分の勝ちパターンを編み出して、それを応用したり、あるいは一つのパターンにこだわらず新しいパターンを思いついていくか。

いろんなアイディアを示していける会社や人は「魅力的」だということは忘れてはいけない。勝つためだけではなく、魅力的であることで、周囲はその会社や人から目が離せなくなるだろう。