ブランディングをして良かったのかどうかという振り返り

7月は私にとっては(そして会社の一部の人にとっても)つらいものだった。

まず、6月16日に執り行った会社の50周年記念式典に向けて、この2年、ひた走りに走っていて本当に良い形でその日を迎えることができたので、終わったことによる精神的な反動というものもあるだろうと覚悟はしていた。

この2年間の内訳は

  • 2021年8月 ブランディングを依頼する業者の決定
  • 2021年9月 ブランディングに向けた打ち合わせの開始
  • 2022年5月 ブランディングをしてくださる業者さんとの合宿
  • 2022年6月 式典を依頼する業者の変更
  • 2022年7月 フィネットのキービジュアル「ファーム」を依頼するイラストレーターさんと接触
  • 2022年10月 社内でブランディングコンセプトを共有するイベントを開催
  • 2022年年末~2023年3月 ドメイン移行、コーポレートサイトリニューアル、社屋エントランスリニューアル、その他社内リニューアル
  • 2023年3月 式典を依頼する業者の変更
  • 2023年4月 社名変更による社内混乱で総務のメインのかたが体調を崩す
  • 2023年5月~6月 式典準備、ノベルティ作成
  • 2023年6月16日 50周年記念式典

という感じで足掛け2年ぐらいかかっている。本当にたくさんの業者さん(イベント会社、イラストレーター、看板業者、塗装業者、内装工事業者、大原美術館関係者、印刷業者、HP作成業者など)と怒涛の打ち合わせをこなしていた。

たくさんの祝福を受けて式典が終わって少し脱力したところで、7月は役員一人が右肩の骨折をし、私がコロナ陽性になり、と、会社の経営を担う者にも充分な余裕がない日々であった。

結果、7月の私は少しパワーダウンしてしまい、コロナでメンタルにかなりダメージを受けた私は、心底、経営というものに対して自信を失くしていた。もう、身の回りのものを風呂敷に包んで、「それでは私の役割は終わったのでお暇をいただきます」とどこか遠くに去ってしまいたいとまで思っていた。

それでも何とか7月を乗り切って8月に入って改めて社内を見渡した時に「そんなにうちの会社は悪い状況なのか?いや、むしろ良くなったところがいくつもある」と感じることができた。

  • それまで「欠けている」と感じていた関東のマネジメント層についてご縁があって入社いただけるかたができた
  • 女性エンジニアをなかなか採用できないと悩んでいたが、これもご縁があって今年の3月に入社いただけることができた
  • 式典後に仕事の話をいただけることも増え、また、式典の良い思い出を共有できる取引先の方たちと笑顔で会話できることが増えた
  • 若いかたの多い会社で活気がありますね、ということを取引先が認識してくれた

などいろいろあるが、私が今一番強く感じているのは、「ほかの会社から祝福してもらうことによって社員の人ひとりひとりが自分たちに自信を持てるようになり、今までだったら受け身で動いてもらえないと感じていたことに対して自ら動いてくれる人が増えた」ということである。

こういう「自信を持てた結果が成長につながる」という体験を社員の人にさせることは絶対に私一人の力ではできない。外側からの良い眼差しに後押しされないと、ついつい、「うちの会社なんて頑張ってもそんなに変われるわけではない」という気持ちがブレーキになってしまう。

ブランディングというのは「社外に向けたもの」というイメージが大きいが、私はもともと「社内ブランディング」を目的としており「社員の人に自信を持ってもらうことで会社の方向性を素早く伝番させ、動いてもらえるようにする」というのを当初からイメージしていた。

他社の経営層、幹部、管理職のかたと話すとき、ついつい互いに自社の悩みについて語り合いがちであるが、自社の良いところを自分自身が嘘偽りなく幸せな顔で語れるようにするためにも、ブランディングというチャレンジはこれで終わり、ということでなく引き続き続けていくべきなんだろうなと思う。