巻き込んでしまった

そろそろ気分も落ち着いてきたのだが、先週ぐらいまではとにかく「みんチャレ」というサービスが気に入っていて、そのことばかり熱く語っていた。なんだったのか。あの浮かれようは。もう落ち着いた。「みんチャレ」は日常の中に静かに潜り込んで、日常の一部に同化してしまった。

ワンシーズンに一度くらい行く洋服屋さんがある。そこで週に何日かお店に立っている店員さんと私は気が合う(と思っている)。私が試着した服をなんでも褒めたおして勧めてきたりせず、私が「なんだか違うなあ」と思ったときはその店員さんも「なんだか違いますね」と言う。私が「良いな」と思った服は「すごく合ってますね」と言ってくれる。別に無理に私に合わせているわけではなく、素直な感想として言ってくれる。

たまにしか行かない上に人生で3度めぐらいに会っただけの人に、私はまたしても熱く「みんチャレ」を勧めてしまった。そのほかにもしばらく盛り上がってしゃべり続けて、私はとても楽しい気分で店を後にした。

そして、夜、ハッとなった。買ったものを袋から出した時、おしゃべりに夢中になり過ぎて店員さんが品物を一つ袋に入れるのを忘れていたのだ。私もそれに気づかず帰宅してしまった。どんだけおしゃべりが楽しかったんだよ、と反省しつつ、「まあ、近日中にお店に寄ればいいか」と思って寝た。

翌朝、私が「みんチャレ」アプリを開いた時に、私が入っているチームに新しい人が入ってきていたので、「はじめまして!」と挨拶をした(グループラインみたいな吹き出しの会話ができるのだ)。そうするとその新しい人が「ゆかりんさん、分かりますか?」と返してきた。それですぐ気がついた。洋服屋さんの店員さんが「みんチャレ」で私のアイコンを探してチームに参加してくれたのだ。そこしか私に連絡を取る手段がなかったので苦肉の策とも言える。「私、忘れ物してましたよね?」と問うと、「そうなんです。お話に夢中になってしまって」と返事が来た。が、ここはチームのチャットであり、私的な会話はあまりできない。私は取り急ぎ「そちらに取りに行きますね」とだけ伝えてやり取りを終えた。

そんな経緯があって、今、洋服屋の店員さんは私と一緒に掃除のチームに入って日々頑張っている。無理やり巻き込んじゃったかなあという気がしないでもないけど、面倒になったらチームを抜けてくれても全然かまわない。

時々、アイコンを頼りに私を見つけてくる人がいる。このSNSの波のまにまに。